障害年金の更新と支給停止に関するQ&A

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年05月24日

障害年金の更新と支給停止に関するQ&A

Q障害年金の更新とは?

A

 障害年金には更新という制度があり、受給が決定して1~5年の間に必要書類を提出する必要があります。
 書類の提出期限は人によって異なりますが、「年金証書」に記載されている更新日までに更新手続きを行う必要があります。

 年金証書の右下「障害基礎年金の障害状況」という欄の「次回診断書提出年月」に記載されている年月が更新日となります。

 また、更新月は原則としてご自身の誕生月になります。年金証書は、障害年金の受給が決定すると送付されますので、大事に保管しておく必要があります。

Q更新の手続きの連絡がきた場合はどうしたらいいでしょうか?

A

 まずは、現在通院している病院の医師の診察を受け、前回の症状と比較します。

 もし診察してもらう医師が前回と異なる場合は、ご自身の症状がうまく伝わらない可能性があります。

 症状がうまく伝わらないと、診断書の内容と実際の症状に差異が生じて、減額や支給停止になるリスクもありますので、注意が必要です。

 また、ご自身では症状に変化がないと考えていても、診断上は「症状が緩和している」という内容の診断書になってしまうこともあります。

 そのため、可能な限り詳細に症状を伝えることが重要です。

更新手続きの流れ

①年金機構から診断書の用紙が届きます。

②医師に診断書作成の依頼をします。

 診断書を作成していただいた後は、年金証書記載の「次回診断書提出年月」の末日までに診断書の提出が必要になります。

③障害基礎年金の場合はお住まいの市区町村役場、又は年金事務所に書類を提出します。

 障害厚生年金の場合は年金事務所に書類を提出します。

Qどのような場合に障害年金が支給停止となりますか?

A

 障害年金には更新という制度があり、更新の際には最新の診断書を提出する必要があります。

 その診断書によって障害の状態が改善されたとみなされた場合には、障害の等級が下がり、その結果、支給が停止される可能性があります。

 

受給権者が障害等級に該当する程度の障害の状態に該当しなくなったとき

 障害基礎年金において、障害の程度が2級よりも軽くなった場合は支給が停止されます。

 しかし、支給停止後に障害の状態が悪化し、再度2級以上に認定される場合は支給の停止が解除され、支給が開始されます。

Q支給停止の通知が届いた場合にとれる手段はありますか?

A

 支給停止になってしまい、再度受給をするためには2つの方法があります。

①新たに診断書を作り直し支給停止事由消滅届により年金の受給再開を目指す

 支給が停止しても、受給権そのものを失うわけではありません。

 支給停止後、再度診断書を提出し、障害年金が支給される程度の障害に認定されると、支給が再開する可能性があります。

 そのため、支給停止事由消滅届と、新しい診断書を提出する必要があります。

 支給停止になった際の診断書と同内容の診断書では、支給停止のままになる可能性が高いため、再度障害年金が支給される程度の障害に該当しそうだと医師が判断したタイミングで行うことをおすすめします。

②支給停止となった処分に対する審査請求

 支給停止の決定に対し、審査請求という不服の申立てを行います。

 この不服の申立てが認められると、支給停止の決定が取り消され、今までどおり障害年金の受給ができるようになります。

 しかし、審査機関も明確な根拠をもって支給停止の決定をしているため、審査請求をする際には、支給停止が妥当ではない決定であるという根拠を示す資料の提出が必要になります。

 また、審査請求は、支給停止の決定を知ってから3か月以内に行わなければならないという期限もついているため、スピーディーな対応が求められます。

Qどうしたら継続して障害年金を受給できますか?

A

 障害年金の更新の際には主治医の診断書が必要になりますが、実際の症状が正確に反映されていないことなどが原因で、等級が軽くなり、支給額の減額や、支給停止になることもあります。
 そのため、実際の症状を可能な限りそのまま診断書に書いてもらうことや、症状の悪化を感じている場合には事細かに主治医に伝えるなど、細心の注意をはらう必要があります。
 前回と同じ等級に認定されると、次回の更新まで継続して年金を受給することが可能です。

Q障害年金の「永久認定」と「有期認定」とは?

A

 障害年金の障害等級の認定には「永久認定」と「有期認定」の2種類があります。
 「永久認定」は手足の切断、人工関節置換、失明など症状が変化しないもので、これに認定された場合、生涯にわたって障害年金を受給することができます。
 「有期認定」は症状が固定されない精神疾患、腎疾患、心疾患、がんなどのほとんどの病気が対象で、時間の経過や治療により、症状が軽くなる可能性があるため、「更新」によって定期的に障害等級の認定を行うことが必要になります。

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