精神疾患について障害年金が認められる基準

文責:社会保険労務士 大原啓介

最終更新日:2023年07月24日

1 障害年金が受給できる等級

 障害年金が受給できる等級は、障害の原因となった病気やケガで最初に医師の診察を受けた日(初診日)に国民年金の被保険者であったか、厚生年金の被保険者であったかで異なります。

 初診日に国民年金の被保険者であった場合は、2級または1級に認定されると障害年金が支給されますが、初診日に厚生年金の被保険者であった場合には、3級、2級または1級に認定されると支給されます。

 障害の程度は、3級が最も軽くて1級が最も重いとされています。

初診日に厚生年金の被保険者であったほうが、より軽い障害の程度でも障害年金を受け取ることが可能です。

 なお、初診日に厚生年金の被保険者であった場合は、3級には至らない程度の一定の障害があると、障害手当金という一時金が支給されることになっていますが、精神疾患は支給の対象外となっているため注意が必要です。

2 精神障害の等級判定ガイドライン

 精神障害に関しては、平成28年9月に「精神の障害に係る等級判定ガイドライン」が定められています。

 このガイドラインは、うつ病や統合失調症等の精神障害に加え、知的障害、発達障害も対象となっています。

 ただし、てんかんについてはこのガイドラインの対象となっていません。

 ガイドラインでは、診断書の「日常生活能力の程度」と「日常生活能力の判定」とういう項目の記載内容から、表を使って「1級」、「1級又は2級」、「2級」と、どの等級に該当するかの目安を導き出せる仕組みが導入されています。

 もっとも、この表を使った目安どおりに等級が認定されるわけではなく、診断書の他の記載事項も考慮して、総合的に評価するとされています。

3 認定の対象とならない精神疾患

 なお、神経症や不安障害、適応障害等は、原則として障害年金の支給対象となりません。

 ただし、その症状が、障害年金の支給対象となる精神疾患と同じような状態である場合には、例外的に障害年金の支給対象となることがあります。

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